年末年始スペシャル号!

原本筆者:Dr.カーロン・コーカー
翻訳編集:S&Fマガジン


リチャード・クレイダー博士
 タンパク質はエネルギー源としても使われますが、その使われる量はしれています。 確かにアミノ酸の中でもブラ
ンチド・チェーン・アミノ酸(分岐アミノ酸)、グルタミン酸、アスパーテート酸と呼ばれるものは、グルコースに還元されま
すが、タンパク質は体にとってエネルギーとしては好まれていません。

しかしどんな運動をするにせよ、運動選手なら1日体重1キロあたり1・5〜2・0グラムのタンパク質摂取が必要です。
 一般に標高が高い場所に住む運動選手は、タンパク質とナイトロジェンのバランスを保つ為に2.2グラムという高タン
パク食が望まれます。

 一般人なら1日体重1キログラムあたり1グラムというのが妥当ですが、真剣にプレーする
スポーツマンでも、1日に2・2グラムを超えて摂取しても運動能力が向上するわけでなく、
全く意味がないのです。

 私がスポーツ選手に薦めるなら、質の高いタンパク質を摂ることです(これは”アミノ酸のバランスが上手く配合され
たタンパク質を摂れ”という意味です) 最も理想的なタンパク質源は、ホエイプロテインです。 特にエクササイズの
後にホエイプロテインと炭水化物のドリンクやバー等を摂るのが有効です。 この時のタンパク質と炭水化物を摂取
する比率は、炭水化物3に対し、タンパク質1というのが理想的です。

 高タンパク質食が肝臓にダメージを与えるという説は、今のところ根拠はありません。 ある最近の研究では、1日
2・5グラムのタンパク質を2ヶ月摂るという例が有りましたが、何ら問題はありませんでした。 但し、これでは未だ長期
的な意味で問題が無いとは言い切れません。

意見の不一致

 何れの意見とも私と食い違って、今迄通り”炭水化物が最も有効なエネルギー源”となっています。
 私の言わんがところは、”炭水化物をエネルギー源として体が慣れると(実際殆どの人がそうですが)、炭水化物中
毒と言わんがばかりに体はエネルギー源を炭水化物に頼るようになる”というところです。

 炭水化物は非常に重要なエネルギー源です。 なぜなら私達社会がそう扱ってきたからです。 炭水化物は簡単
にエネルギーに還元されます。 しかし炭水化物を長年に渡り主エネルギー源として扱ってきた結果、”エネルギー源
を脂肪から得る”、又は”タンパク質から得る”という機能が低下したのです。

 私達は炭水化物を主エネルギー源として扱ってきて以来、社会に病気をはびこらせる結果となりました。 その
代表例が、”糖尿病”です。 

 もし私達、そして私達の子供が生れた時から炭水化物(糖質も含む)を一切摂らなかったら、糖尿病患者は症状を
体験する事無く快適な人生を過ごす事が出来たでしょう。

 私達社会は、”炭水化物が最も優れたエネルギー源だ”と意味も無く信じ込んできたのです。 しかし人体にとって、
 ベストとは健康である事を意味するのです。 その理論から、私は以下のように主張します。

 運動選手なら、良い脂肪にエネルギー源の視点を変えるべきです。 忘れてならないのが、炭水化物をエネルギー
源として扱えば扱うほど、体はそれを頼りにするのです。
 ですから、良い脂肪(魚に含まれる脂肪など)をエネルギー源とし、ホエイタンパク質を肉体の回復や成長として選
びます。 そして炭水化物に関しては、食物繊維を多く含む野菜を摂る際に含まれる、微量の炭水化物程度に抑える
べきでしょう。

最後に

 如何だったでしょう? 海の向こうでは、今有る常識を常識とせず、常に見直して真実を追求しているのです。
面白いのは、上に登場してきた医師や博士は、その道で名を馳せた権威者ばかりですが、何れも自己の意見と理論
をハッキリと主張し、お互いが激突しています。
 実際上にそれぞれの意見が述べられましたが、タンパク質VS炭水化物という議論の決着は未だ着いていません。

 現在コーカー氏の意見1つが反対で、あたかも間違いの様に見えるところですが、今回の年末年始スペシャル号の
”世界一速い!”のコーナーで紹介する、マウリス・グリーンという100m走世界チャンピオンの食事法を見れば、
”論より証拠”という事で、コーカー氏の方に分配の旗が挙がるようにも見えます。 さて、今後この議論の行く方は・・・?

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