年末年始スペシャル号!

原本筆者:Dr.カーロン・コーカー
翻訳編集:S&Fマガジン

 

 最近スポーツ先進国アメリカでは、今までの概念を打ち砕くような考えが生れています。 それが”エネルギー源
にはタンパク質なのか?それとも炭水化物なのか?”です。

 今回医者でもあり、スポーツドクターでもあり、また現役のパワーリフターの選手でも
あるカーロン・コーカー医師がMDで掲載した記事を紹介したいと思います。 このドク
ターの意見は、常に概念に捕らわれない新しいものです。 今回その道で名を馳せた
ドクターの意見も参考に答えを探る事となりました。 
では特とご覧下さい。

 無知というのは言い訳にはなりません。 特に炭水化物か?それともタンパク質か?
の選択を迫られるアスリートなら気になるテーマです。
 少し前までは、炭水化物がエネルギー源として単純な考えだったのが、最近では私も
含めその道の著名な方がタンパク質を主張し始めています。


 私がタンパク質をエネルギー源として口に出すと、”ああ、コーカー先生も遂に歳には勝てないか・・・”と洩らす人も
いますが、私はボケてこの様な事を言っているのでは有りません。 このコンセプトは、グリニッジ・ダイエット(S&F
マガジンで紹介した、”ニューミレニアム・ダイエット”の基となるもの)がスポーツに応用されたものです。

 私の説は非常にシンプルです: タンパク質は充分な脂肪酸(魚に含まれるもの)と、水とビタミン・ミネラルをサプル
メントとして摂っていれば、炭水化物の必要性が無くなるというものです。

 本来グリニッジ・ダイエットは、脂肪を落して健康的に痩せる為に開発された方法ですが、それはスポーツ選手にも
応用出来るものです。 ただしスポーツ選手の場合は、摂取する量と頻度が多くなるというだけの事です。

 ではここで一旦他の著名なドクターに、それぞれの考えを述べてもらいましょう。

ウィリアム・クレイマー博士
 炭水化物はエネルギーレベルを短時間で引き上げるのには有効ですが、タンパク質でもエネルギー源として使わ
れます。 
 競技選手は、食べ物に非常に気を付けなくてはなりません。 さもなくば、0.1というタイムの差が勝敗の分け目に
なる事が有るのですから。
 私が研究で確認したのは、BCAAというアミノ酸は、筋力を使う時には非常に有効なエネルギー源になるという事
です。

ジェフ・ボルカー博士
 炭水化物は最も吸収され易いエネルギー源であり、又タンパク質をエネルギー源として消費するのが優れている
と主張する人は先ず少ないでしょう。 実際エネルギー源として最も論点になっているのは、タンパク質ではなく炭水
化物か?それとも脂質か?という点です。

 タンパク質を摂取するには、上限があります。 1日に体重1kgに対し2グラム摂っているのなら、それ以上摂っても
筋肉合成には貢献しないのです。 2グラム以上摂った場合、それら余分なタンパク質はカロリーとして消費されるか、
もしくはムダなカロリーとして脂肪になるのです。 実際研究で運動選手を対象に調査したところ、1.7〜1.8グラムが
ナイトロジェンバランスの限度だったのです。 これはウエイトトレーニングをするスポーツ選手を対象にした結果で、
一般の人なら0.8グラムとなります。
 しかしここで最も興味が持たれるのが、”どのエネルギー源が最も持久性を要する運動に適しているか?”です。
 現時点では充分論理立てるだけのデータは有りません。

 >コーカー氏が述べます。
  ”最近ボレック&クレイマー(Volek&Kraemer)が発表した調査では、運動選手に低炭水化物、高脂肪(65%脂肪:
10%炭水化物: 25%タンパク質)という食事をさせて様子を見たところ、運動能力になんら変化は無かったと報告
しています。 又腎臓にも全く負担が掛からなかった事も確認されています。 但し長期実験結果が無い為、今の
ところは早合点できないというところです。”

トーマス・フェイ博士
 高タンパク質低炭水化物ダイエットに比べ、高炭水化物低炭水化物ダイエットはスポーツ選手に持久力を与えます。
 およそ15%のタンパク質は運動中エネルギーに還元されますが、炭水化物ほどスムーズに還元されません。
 炭水化物は、タンパク質や脂質よりもエネルギーに還元されるスピードが速いのです。

 一般に無酸素運動をする選手(フットボーラー等)には、1日体重1kgあたり2グラムのタンパク質摂取を薦めます。
他のスポーツ選手には、1日体重1kgあたり0.8〜1.5グラムのタンパク質を食事全体の15%を占めるようにし、20〜
30%を脂肪や炭水化物から摂るように薦めます。 一般の運動選手なら、1日体重1kgあたり1.5gを超える必要は
ありません。

 >コーカー氏が述べます。
  ”ドクター・フェイ氏が意味する高タンパク食とは、食事全体の15%以上をタンパク質で占める場合を指します。”

 つい最近ネザーランドの研究で、運動選手に1日体重1kgあたり4グラムという高タンパク質ダイエットを試みた例が
ありました。 被験者の肝臓には異常は確認されませんでしたが、この研究1例だけでは何とも言えません。

 持久力を競うマラソンランナーや自転車マラソン選手には、炭水化物が必要です。

炭水化物はインシュリンを分泌させ、その結果浸透圧効果でアミノ酸を筋肉内に送り込む作用があるのです。

 ウエイトトレーニングをするなら、タンパク質を摂るタイミングは非常に重要となってきます。
 インシュリンの分泌レベルをトレーニング後(およそ1時間続きます)高くできれば、沢山のアミノ酸を筋肉内に
送り込む事が出来るのです。 ですからトレーニング後に炭水化物とタンパク質をコンビで摂れば、インシュリンが分泌
され、タンパク質が筋肉に摂り込まれ、同時に成長ホルモンが分泌される現象も起きるのです。 これが結果的に
筋肉増強効果に繋がるのです。

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