JUNE Issue

 資料提供: トーマス・フェイ博士
 挿絵:S&F MAGAZINE 
 翻訳編集:S&F MAGAZINE 

                ”私ってどうして何時もお腹が減りっぱなしなの?”
                    空腹感をコントロールする10の法則

食欲をコントロールする秘訣
『うわッ、信じられな〜いッ!ぜ〜んぶ食べちゃったぁ!』 こんな事を経験した事はないですか? チョットした3時のおやつとして買ったつもりのチョコレートやクッキーやアイスクリーが、気づいたらぜ〜んぶぺロリと平らげてしまったなんて・・・。 どうしてお腹が減った時にジャンクフードを買ってしまうのでしょうか? 又、どうして空腹感を感じずに1日中活動する事が出来ないのでしょうか? 

最近まで科学者は、血液中のエネルギーレベルが高い(血糖値が高い)と空腹感を感じずに済むと考えてきました。 食後はぶどう糖(血糖)値が上がり、満腹感を感じ、再び血糖値が下がりエネルギーが枯渇するとお腹が減るというものです。 この事から肥満気味な人は、血糖値が上がっても満腹感が得られず、食欲が治まらないものだと考えられてきました。 しかし最も最近の研究では、食欲というのはそんな単純なメカニズムではないという事が明らかになってきました。
この複雑な体のシステムは、食欲や新陳代謝のスピードをコントロールする上、あなたの体を痩せたり太らせたりする事すら操作するのです。 幸いにも研究者達はこの複雑なシステムを理解し始め、食欲をコントロールする簡単な方法を開発しつつあります。

どのようにあなたの体は食欲をコントロールするのか?
食欲をコントロールする機能は、脳の下部に位置する視床下部に有ります。
空腹中枢は体に食べ物を探せという信号を送り、満腹中枢は食欲をストップさせます。
満腹中枢はエネルギーが枯渇している時以外は、通常最も強い信号を送りますが、信号が衰えてくると逆に空腹中枢が活発になり、空腹信号を送り始めます。
空腹中枢を活発にさせる要因は多々有ります。 それは血糖値であったり、体脂肪であったり、血中のアミノ酸値である他、脳の温度にもよります。

血糖

血糖は、最も素早く又強い信号を体に送ります。 視床下部には血糖値センサーがあり、血中のぶどう糖値が下がると空腹を感じるようになっています。 ぶどう糖は脳や神経機能を正常活動する上で、重要なエネルギー源となっています。
空腹をガマンして活動すると、体がけだるく感じますが、それはぶどう糖が枯渇しているからです。 血糖値が低い時、体は食べ物を渇望するだけでなく、高カロリーの食べ物程おいしく感じるようになる為、高カロリー食を食べる事により、速やかにエネルギーを供給できるのです。

アミノ酸
アミノ酸も空腹と満腹中枢に影響を与えます。 肝臓はアミノ酸をぶどう糖に変換する事が出来ます。 アミノ酸は言わば、タイムリリース(ゆっくり消化される)カプセル入りのぶどう糖のように働きます。 通常食べ物からエネルギーを使い果たすと、血糖値を維持する為にアミノ酸をぶどう糖に変換し、飢えをしのぎます。 ですから、特に朝食にたんぱく質(肉類、魚類、卵、乳製品等)を加えると、空腹感を感じずにより長時間活動できるのです。 

脳の温度
脳の温度も食欲をコントロールする上で影響力が有ります。 食べたり、運動したり、熱に晒されたりする等の体温を上げる要因は、満腹中枢を刺激する事になります。 たとえば食物を消化中に放出される熱カロリーは、食べ物の15%を消費すると言われます。 
寒いと空腹感をより感じ、熱いと食欲不振になるのは、体温レベルが脳に対する影響によると考えられます。 又エクササイズをすると空腹感を和らげるというのも、体温上昇と関係があるのです。

体脂肪レベル
脂肪も食欲をコントロールします。 体重を急に減らそうと試みると、脂肪細胞から脂肪を急に奪う事となり、体のバランス機能を狂わせます。
脂肪細胞の役割は、脂肪を細胞内に蓄える事なので、急激なダイエットは脂肪細胞を言わば失業させた状態になります。
多くの研究者達は、脂肪細胞が食欲をコントロールする事に興味を示し、研究を続けてきました。 その結果解った事は、太る遺伝子は脂肪細胞内に蓄えられている脂肪の量に反応して食欲や新陳代謝のレベルを操作するという事です。 脂肪細胞は体全体の脂肪次第で、レプティンという物質を分泌します。  レプティンは空腹感を癒し、カロリーの消費を促進します。
レプティンは中枢神経と脂肪細胞の間のメッセンジャーとして体脂肪をコントロールします。 またレプティンはアドレナリンやノラドレナリン等のホルモン分泌を促進する事で、新陳代謝率を上げる事もできます。 
これらから肥満になりやすい人は、レプティンの分泌量や脳内のレプティンに反応するセンサーに問題がある可能性があると考えられます。 
他の食欲をコントロールする物質として解っているのが、オレキシン(orexin)、コーティゾル(cortisol)、GLP-1、corticotropin-releasing factor、cholecystokinin、somatostatin、ニューロペプタイドY、ペプタイドYY等です。 研究者達は、この中でも特にレプティンとニューロペプタイドYを肥満防止薬として利用する可能性に期待を募らせています。

他の空腹感を起こす要因
満腹と空腹中枢は他にも色々な影響を受けます。 例えばストレッチ・リセプターと言って、胃袋や腸に食べ物が入る事で、伸ばされ反応するものや、胃腸内のエネルギーレベル(GI)、cholecystokinin等のGIホルモンレベル、肝臓内の栄養センサーの反応の他、体内のエネルギーレベルに敏感に反応するインシュリンやグルカゴンや成長ホルモン等の分泌などに対し、満腹感や空腹感が左右されます。
 

精神的影響
精神的影響が肥満になる多くの原因でも有り、尚且つ最もコントロールしにくい厄介な因子です。 食べ物をドッサリ用意したパーティや、決まった時間に食べる習慣や、心配や失恋などストレスからくる過食症等は、前に述べた肉体的因子に影響されず、独立して食欲を旺盛にします。 今迄何度パーティに出席し、お腹が空いてもいないのに、そこにジャンクフードが有るというだけで食べなきゃ損と感じ、口にした事が有りますか? 又高カロリーな食べ物が、すぐ手近に有るというのも肉体的要因に関係なく食欲を増進させます。
特に脂肪分の高い食べ物は、炭水化物とたんぱく質でできた食事と比べると、なかなか満足感が得られず結果的に沢山のカロリーを食べる事になる為、肥満を促進するのです。 この理由は脂質では満腹中枢が直ぐに反応しないからです。 


食欲をコントロールする10の法則

食欲をコントロールする上で最も影響力の有る因子は、エネルギーレベル、脂肪の備蓄、精神的影響の3つがあげられます。 もしこれら3つの要因を上手くコントロール出来るなら、空腹感を和らげ、食欲を抑えることが出来るでしょう。 
以下がそれらを可能にする10の法則です。

*食事は何度かに分けて少量を食べる
このような食べ方をする事で、血中のぶどう糖値を一定に維持する事が可能になり、異常な食欲を抑える事が出来るのです。 又それぞれの食事でたんぱく質を摂ると、食欲をコントロールするのが容易になります。

*高カロリー食を避ける
いわゆるファーストフードのハンバーガー等を避け、低脂肪でできたサンドイッチやサラダを低カロリードレッシングで食べるようにしましょう。

*充分水を飲もう
水は満腹感を得るのに貢献し、空腹感も癒してくれます。

*1日で最も沢山食べる食事(夕食?)の前に運動をする
運動は食欲を抑えるので、ジョギングや自転車漕ぎやウォーキングを、沢山食べる食事の前にすると、沢山食べずに済むでしょう。

*夜お菓子を食べない
過食症の人の殆どは、夜の6時以降にお菓子をむさぼります。 テレビを観るのが行為を促進する原因でも有ります。 ですから夜は活動的にジムで汗を流す等し、食べ物から気を反らしましょう。

*歩く生ゴミ箱になるな
どこの家庭でもそうですが、皿に出された物は全て平らげるように勧めます。 しかし太らない為には、お腹がいっぱいと感じたところでストップする事です。

*パーティや飲み会に招待されたら、ポテトチップやピザやケーキやドーナッツを避け、野菜や果物類を摘みましょう。

*お腹が空いたと感じた時のみ食事を摂る
いつもの夕食時間になったという理由だけで、7時になったら必ず食事をするというのは止めましょう。確かに現実的に難しいかも知れませんが、いつもの習慣に体を合わすのではなく、体の要求に生活を合わすようにします。 もっと自分の体が、何を訴えているかに耳を傾けるべきです。

*レストランでは小さいサイズの注文を心掛けましょう
メニューにS,M,L等のサイズを指定できるのなら、Sを選びましょう。

*断食のような真似は避け、薬にも頼らないようにしましょう
極度のカロリー制限を行うと、体脂肪コントロール機能に障害をきたし、結果的に体重を増やす事になります。 確かに最初体重減を体験するかも知れません。 しかし直ぐにリバウンドを体験するでしょう。 減量薬を避け(少なくとも効き目が確認され安全性が認められる迄)ましょう。 なぜなら、体重を維持するには薬を摂り続けなくてはならないからです。
往々にして薬を止めると、元の体、もしくは前以上に太ってしまいます。


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