次期世界ヘビー級チャンピオン
マイケル・グラント   
MICHAEL GRANT
        のトレーニング法

 今までのボクシングの常識を
 くつがえす科学的トレーニング法

         

     JUNE Issue

「飲まない、吸わない、薬をしない、
健全型ボクサー」

     原本執筆: キャロル・アン・ウェバー
     翻訳編集: 
S&F MAGAZINE
     写真:Musclar Development

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今私達アメリカ人は、少々危険で不道徳という程度では満足出来ないようです。 視聴率No.1TVトークショーのジェリースプリンガ−・ショーでは、反社会的で危険な人を紹介すればするほど視聴率が上がるといった具合。
そんな中プロボクサーといえば、それは立派な犯罪歴を持ったツワモノ達で溢れているだけに、観衆の受けは非常に良いのです。例えば立派な犯罪歴を誇る、ご存知マイクタイソン等が試合となると、チケットは飛ぶ様に売れ、視聴率はゴボウ抜き状態です。 つまり今や汚れたイメージは、人の興味を引き付け、良い宣伝効果をもたらす、歓迎されるべきものなのです。 恐らくそれが理由に、リングに立つマイケル・グラントは、”野生の本能”と”情熱”に欠けると世間が評価するのかも知れません。

マイケルはボクサーにしては珍しく、犯罪歴が何一つ有りません。 おまけにリングに上がると、愛想良いニコニコした笑顔さえ浮かべるのです。  飲まない、吸わない、薬をしないというマイケルは、週末は教会で歌ったり、ドラムを叩いたり、ピアノを弾いたりする、真面目一筋の既婚のパパなのです。 そんなマイケルは、試合で相手を傷つけたりした時、”誤ったり”することで有名です。 (フィラデルフィア・インクワイアラー誌によると、6月19日の試合中、マイケルが対戦相手のルー・サバースの下腹部を殴り、試合中断された時、マウスピース越しにマイケルがつぶやいたそうです、「ボ、ボクが悪い・・・」と。 「どこ見て打ってんだヨーッ!」とルーに言われた時、マイケルは「ゴメンねェ〜ッ、ルー」と誤ったそうです!!) 
マイケルはこの試合について、9ラウンド目に入った時、ルーの口から沢山の血が流れ始めたのを見て、レフリーに「早く試合を止めてくれないかなぁ〜」と思っていたそうです。 なぜならマイケルはこれ以上ルーを「傷めつけたくなかったからだ」と私に打ち明けてくれました(なんーじゃソラッ?!)。 また批評家の間でも、マイケルは決して良い評判を得ていません。 恐らくそれは、人が難しいとする事を彼がやると、簡単に見えてしまうからでしょう。 この10ラウンドの判定終了後、マイケルがボクシング・コメンテーターのラリー・マーチャントに寄って行き、試合後のインタビューを和気あいあいと話す中、対戦者のルーは、病院で治療する為に、道でタクシーを拾っていたのです。 にも関らず、ラリーの質問は、「どうしてルーを倒せなかったのですか?」でした。 しかし誰が見ても、ルーは明らかに倒されていました。 一体世間に何人マイケルの様に、相手を倒す事を軽々するかのように見えるボクサーがいますか?

チャンピオンへの道

マイケルはチャンピオンになる為に必用な要素が充分有ります。 先ず彼は尊敬するエバンダー・ホリフィールドと同じく、年間を通じて完璧なコンディションを維持します。 身長197.7cmに2m16.5cmのリーチ、そこへ硬いアゴと脂肪の無い筋肉を加えると、116kgの化け物の出来上がりッ! その肉体から繰り出される鋭いジャブは、ジャックハンマーの様に相手を叩き付けます。 彼のリーチ内に入る程のバカはいないでしょう。 それは正に、蜂の巣の様にコブシがあなたの体に突き刺さす事を意味するのです。
(マイケルの戦歴:31試合中、1ラウンドK.Oが8回、2ラウンドK.Oが4回、3ラウンドK.Oが2回)

衛星スポーツ放送HBO Sportsの副社長を務めるルー・ディベラ氏は、「この27歳のハンサム青年は、今人が求めているのものです。 彼の肉体はヘビー級の中でも群を抜いて鋼鉄の様な仕上がりです。 今後上手く育てれば、素質が開花し、ホリフィールドを継ぐ偉大なボクサーになるでしょう」と、フィラデルフィア・デイリーニュースの1999年1月26日付で話しています。 

マイケルのトレーナーで、ホリフィールドのトレーナーでも有るドン・ターナーは、初めてマイケルが練習しているところを見た時から、彼には素質が有るとにらんできました。 
ホリフィールドのスパーリング・パートナーを楽々とこなすマイケルを見た瞬間、ターナーは大きな金脈を掘り当てたと直感したそうです。 事実最近のインタビューでターナーは興奮気に、「マイケルは過去最高のヘビーウエイトチャンピオンになる可能性を持っている」と話しています。 マイケルは未だこれから伸びる存在だけに、優れた相手と経験を積む必要が有るでしょう。 又マイケル自身も世界タイトルマッチまでに、まだまだ経験を積む必用が有ることを認めているのです。
一方ホリフィールドは、「若手のヘビーウエイトについて語るなら、先ずはマイケル・グラントから話すべきだ。 彼は見たところ非常に有望だが、実際のところどこまで行けるかは、リングで試さない限り分からない」と話しています。

堕落の後の復活

ディーオン・サンダ−やマイケル・ジョーダン等が、途中からもう1種類別のスポーツに足を突っ込んだ事は良く 知られていますが、マイケル・グラントは最初から多岐にわたるスポーツ万能性を輝かせていました。 

9人兄弟の末っ子としてシカゴの南部で生まれたマイケルは、ウィリアム・レイニー・ハーパー高校に通いました。 そこでは先ず手始めに、フットボール、バスケットボールの他、後に野球にまで手を出すのです。
フットボールとバスケットボールでは、1990−1991年の間、(Outstanding Player award)を受賞しています。
野球では、自慢の144kmの速球を誇り、カンザス・シティ・ロイヤルから入団のお誘いまで有りました。 しかしマイケルは、カリフォルニア州にあるマウント・サン・アントニオ・カレッジで、フットボールとバスケットボールをプレーする為に、そのお誘いを断わったのです。(もったいナイ) 
カリフォルニアと言えば、その年間を通じての気候の良さが人を開放的にする事で良く知られますが、これがマイケルを”遊び人”に変え、やがて堕落へと導く結果となります。
大学2年目にしてサウスウェスタン・カレッジに転校、その後フラートン市にあるカルステ−ト・カレッジに再度移り、しばらくして中退となります。 カルステートのバスケットボールでは、スウィングマン(攻防両方を担うポジション)を務めていました。 「バカな事をした・・・」と、マイケルは当時を振り返ります。

その後1992年ラスベガスで、ホリフィールドとボウの対戦を観戦しに行ったマイケルは、その場でレフリーのリチャード・スティール氏に紹介されます。 スティール氏はマイケルを一目見て、彼をチャンピオンにする事を約束するのです。 ここから彼の人生は、大きく飛躍し始めます。

早速マイケルはラスベガスに引越し、20歳にしてボクシングを開始したのです。
束の間のアマチュアボクシングを経験(94年にラスベガス・ゴールデン・グローブ に優勝、ナショナル・ゴールデン・グローブでは銅メダルを獲得、戦歴11−1)の後、94年にプロに転向。 現在マイケルはIBCとNABFの両方のチャンピオンベルトを保持し、31−0(22KO)の輝かしキャリアを持っています。 最も印象的なファイトと言えば、最近行われたアンドリュー・ゴロッタと戦いです。 なんと、1ラウンド目にしてマイケルは2度もノックダウンされたのです!(その時までマイケルは一度もノックダウンなどされた事が有りません) しかしマイケルは、この絶望的な苦境に立たされながらも、必死にロッキーのように持ちこたえるのです。 そして10ラウンド目にして、まさかのTKOで逆転勝ちを果すのです!(よくやったーマイケル!涙、涙) 

フットボールやバスケットボールは、マイケルにとって大好きな趣味ですが、ボクシングとなると、それは彼にとってビジネスです。 「人の体は殴られるようには出来ていません。 しかし僕はこの道でやって行く事を自分で決めたのです。 だから最後まで頑張るつもりです」と、語るマイケル。 
マイケルは複数のスポーツに関ってきた有利性を良く認識しています。 本人曰く、フットボールは彼に1対1で戦うテクニックを教え、バスケットボールは「何がなんでもスコアしてみせる!」という、精神的粘り強さを教えてくれたそうです。 


ジムでもリングでもとことんガンバルマン!

現在ペンシルバニア州のノリスタウンに住むマイケルは、オフシーズンのトレーニングを、ドン・ターナーが所有する”エクストリーム・フィットネス”でボクシングの練習を行い、筋力トレーニングは現在マイケルの専属トレーナーが所有する”フレックス”で行っています。 ターナー氏によると、マイケルほど練習熱心な者を見た事が無いとか。
「マイケルは、丁度今から1年前にこのジムに通うようになったのですが、初めて来た時から一生懸命練習し、時にサンドバッグ打ちだけでも2時間ぶっ通しでする事も珍しく無かったです」とターナー氏。

マイケルのウエイトトレーニングに対する熱心さは、ボクシングのと変りありません。 今から5年前、ドン・ターナー氏がフレックスジムを訪れ、ヘッドトレーナーのボーコウスキー氏を尋ねたのがきっかけです。 ドンは或るプロフェッショナルボクサーのトレーニング・プログラムに、ウエイトトレーニングを加えたいと説明しました。 
ボーコウスキー氏(テンプル大学でスポーツメデシンと人体工学の学位を取得する)は、そのリクエストに首を縦に振ります。 そこでドンは早速ホリフィールドのフィットネストレーナーである、ティム・ホールマーク氏に連絡を取り、彼にも協力を求めるのです。 こうしてマイケルには2人の優秀なトレーナーが付く事になったのです。

次ページにトレーニング法が載ってるよ!

 

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2007年11月18日設置
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