サムレス・グリップというのは、親指を手に揃えた状態で、バーやハンドルを掴まない状態で握る方法です。 パワーリフティング等の競技に参加する目的でなく、体を鍛えるのが目的なら、ベンチプレスはサムレスがお勧めです。

サムレス・グリップの利点
サムレス・グリップの最大の特徴は、重量のかかる位置が、手首の内側(親指側)になる点です。 親指の付け根の骨が支点となるのです。 
通常親指を巻き込むグリップでは、手の平の外側の骨でウエイト(重量)を支える事になります。 こうなると、ベンチプレスやショルダープレスをする場合、腕の動きが外側に押し開くようになり、上腕三頭筋をメインで使う事になるのです。 一方サムレスグリップでは、親指の付け根という事で、内側にウエイトがかかり、自然と腕の動きは両腕を寄せ合わせる向きで押す事になるのです。 

肩や胸の筋肉を鍛えたいのに、先に腕が疲れてしまうという方は、サムレスを薦めます。 親指の付け根を支点に、内側に両腕を寄せる感じでバーを押し上げれば、ベンチプレスは胸に、ショルダープレスは肩をメインで使う事になります。

手首にも優しい
親指を手と揃え、親指以外の4本の指で握るサムレス・グリップは、前腕骨に近い部分にウエイト(負荷)がかかり易く(上部図を参照)、親指の付け根を含む2箇所の骨でバランスをとる事になます。 一方通常の親指を引っ掛けて掴む握り方では、前腕骨の真上に上手く重量(負荷)がかかりにくく、手首が反り返ったり、掌が痛くなると訴える人も多いものです。 
サムレスでは、前腕骨の真上にウエイトが乗り、手首の力を殆ど必要としない為、楽に感じるのです。 
手首が弱いと感じる方は、是非お試しください。

サムレスは怖い?
初めてサムレス・グリップを試みた時は、バーが手の平から落ちないか不安に駆られるでしょう。 ガッチリと親指を巻き付けて握る事に慣れた人なら、そう感じても仕方ないでしょう。 しかしそれも考え方や慣れの問題で、一旦「手首で押す」という感覚を身に着け、手の掌のどの部分が最もバランス良くバーやグリップが乗るのかを見つければ、エクササイズが非常に楽になるでしょう。

ジムやフィットネスクラブに通う方で、今までサムレス・グリップをした事が無く不安という方は、以下のマシーンでハンドルやバーを握らず、手首で押すという練習をしてみましょう。 親指を使わなくとも、他の4本の指でバーを押さえている(握っている)限り、手からグリップやバーが滑り落ちるという事は起りません。

注)サムレス・グリップに初めて切り替えるのなら、軽いウエイトから慣れる練習をしましょう。 手の平のどの部分が安定するのかを確認してから、徐々にウエイトを上げましょう。