APRIL Issue

 

 

by バリー・シンガー


スクワットと言えば、エクササイズの王様とも言うほど沢山のベネフィットを与えてくれます。 先ず、大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋、背筋、カーフを鍛える他、肩や腕にもある程度の運動効果を促します。 又持久力を高め、男性ホルモンの分泌すら促進します。 とは言え、何れも正しく行われた場合の話です。 実際正しくスクワットをしているのを目にするのは稀な位です。 そこで今回は、正しいスクワットをする10の法則として以下に詳細します。

1. スクワットの前には充分ウォームアップを
あなたがたとえどのレベルであっても、スクワットを始める正しい手順は、ノーインパクト(衝撃の無い)エアロビック運動から開始する事です。 つまりランニングでは無く、自転車漕ぎ等を指します。 目的は心拍数を高め、血液の循環を良くする事です。  しかしたとえウォームアップとは言え、45分とか30分、或いは15分等を意味しません。 私が言っているのは3〜5分の軽いウォームアップです。 これで充分体の準備は整う筈です。 又ストレッチは、一番最初にするものでは有りません。 体が温まってからにしましょう。 
実際にスクワットをするに際しては、たとえどれ程あなたの脚力が強くとも、最初の1セットはバーのみでスクワットを高回数しましょう。 そうすることで、膝のストレッチになるだけでなく、頭にも今からスクワットをするというシグナルを送る事が出き、心身共に準備ができる訳です。

2. どんな時もフルスクワットをしよう
もし足に怪我が有るとか、経験が浅い、もしくはフルスクワットをするだけの脚力が無い等の理由でフルスクワットが出来ないので有れば、無理にする必要は有りません。 その場合、レッグプレスやハックスクワットをハーフレンジですれば良いでしょう。 但し、常にフルレンジで出来るよう、努力する事をお忘れなく。 そうする事により、やがて脚力が強くなり次第、スクワットに移行できます。 このフルスクワット論は、膝に良くないという理由で否定する者も少なくは有りませんが、それはナンセンスです。 常に足に力を入れたまま一定のスピードで下降し、一番深くしゃがんだ所でバウンスしなければ、膝を傷める事はありません。 むしろ私に言わせると、普段ハーフレンジでスクワットをしているから、いざ深く屈伸した時に、靭帯がつっ張り、怪我が起こるのです。 本当に膝を強くしたいのであれば、フルスクワットを行うべきです。


3. 下降時はゆっくりと
スクワットで下降時、大腿四頭筋が緊張しながら伸ばされます。 これを専門用語でエッセントリックと言います。 それに対し筋肉が収縮する事を、コンセントリックと言います。 スクワットで大事なのは、エッセントリック時に注意を払う事です。 下に下降すればする程、スピードを落として行きます。 そして最下点で静止状態になり、ここらかコンセントリックで力強く挙げます。 決して最下時にバウンスしないように。 膝を痛める原因となります。

4. ”ポケット”を最下時に作る
スクワットで怪我を防ぐには、最下ポイントで”ポケット(間)”を作る事です。 スクワットのベテランは、最下時しゃがんだ状態で全筋肉をガッチリ固め、ほんの一瞬静止します。 

5. 必用で有れば踵の下に板を敷きます。
踵を上げずしてスクワットが出来ないという、柔軟性の欠く人も中にはいます。 その様な人がスクワットをすると”カット”というモーションをする事になります。  ”カット”とは、体の重心が前に傾き、背筋に大きな負担をかけたスクワットをする事です。 これも非常に危険な過ちです。 怪我が起こる前に、踵の下に敷物を置き、踵を上げる事で問題は解決されます。

6. 背を反らす
背を反らした状態でスクワットをすると、全ての重心は大腿四頭筋の真中にかかるようになります。 又背筋の負担も大きく和らぎます。 こうする事で、安全且つ大腿四頭筋に効率良く負荷をかける事が出来るのです。

7. 膝を伸ばし切らない
最上点で、膝を伸ばし切らない様に。 そうする事で、膝の軟骨に負担をかけずに済むだけでなく、大腿四頭筋に休む暇を与えずに済みます。

8. 筋肉を大きくしたいなら高回数をする
基本的には、ヘビーウエイトでの低回数が、筋力とパワーを向上させるのですが、大腿四頭筋の発達は、高回数制(8〜12回)に良く反応する傾向に有ります。 又高回数制で鍛え上げられた脚は、実用性にも富みます。 従って実用性とサイズを求めるなら、重いウエイトを挙げるエゴを捨て、自分の脚には本当に何が必要なのかを優先にするべきです。

9. スクワットの後はストレッチを忘れずに
柔軟性を欠く為の怪我も珍しく有りません。 又柔軟性と機能性は切っても切れない関係に有ります。 従って面倒でもスクワットの後は、念入りにストレッチで柔軟性を高める努力をする必要が有るのです。

10. 直ぐにスクワットが出来ると思うな
今迄沢山のスポーツ選手のトレーニングを任されて来ましたが、殆どの選手はスクワットをするだけの脚力を持っていませんでした。 スクワットは、単純なエクササイズのようでいて、かなりのテクニックとパワーを要する非常に難しいエクササイズの為、怪我を招く事が多々有ります。 しかし正しく行えば、他のエクササイズとは比べ物にならない程のベネフィットを与えてくれます。 ですからスクワットをするには、慎重なアプローチが必要です。 私の場合、初心者にはレッグプレスマシーンでディープスクワットが出来るまでさせます。 その次はウエイトと回数を徐々に上げるようにして行きます。 そしてある程度の重さとトレーニング量をこなせる様になれば、次はハックスクワットをさせます。 ハックスクワットのフォームがマスター出来るようになれば、そこで初めてスクワットをさせます。

 

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