インターバル・スプリント・トレーニング 記事参考:マイケル・サンダー氏筆
翻訳編集:S&Fマガジン
2006年5月号

バスケットボールの試合は皆が好きでしょう。 自分のポジションを守ったり、ボールをとった後攻撃を交わしてショットを決めたり。
バスケットボールの試合で勝つには、選手は強くて瞬発力があり、激しい運動量をこなすだけの体力が必要です。 この様なパワフルな能力を手に入れたければ、ストレングス&コンディショニング・プログラムが必要となります。

バスケットボールの為のストレングス&コンディショニング・トレーニング
先ずトレーニング内容を作る前に、競技内容について熟知する必要があります。

人間の身体は、3種類のエネルギー源に頼っています。 その3つとは、@フォスファゲン(phosphagen)、A乳酸、B酸化性システムです。
体はコンスタントにこれら3種類のエネルギー源に頼って動きますが、競技者がどの程度の強度で運動するかにより、利用するエネルギーの選択が替ります。

バスケットボールは無酸素スポーツです。 つまり、体はフォスファゲンと乳酸をエネルギー源として頼るのです。
フォスファゲンシステムはATP(最も基本となるエネルギー)とフォスファクレアチン(PCr)を分解し、素早くエネルギーを供給します。 しかしこの様な強度の強い運動時のエネルギー供給は、せいぜい10秒程しか続きません。 それでも競技者が運動を続ければ、「乳酸システム」が作動し始めます。 乳酸システムは、ブドウ糖とグリコーゲンを分解し、再びATPを作ります。 この状態下で体は30〜90秒運動する事ができますが、それを超えると次は「酸化性システム」が作動し始めます。

休む事なく激しい運動を続けると、乳酸が筋肉中に溜まり始めます。 この結果、筋肉が焼けるような感覚を起こし、動かなくなるのです。

乳酸やフォスファゲンシステムの助け無く、体はパフォーマンスを続けられません。 しかし、これらエネルギーシステムにも限界があります。 
もしこのリミットをコントロールでき
れば素晴らしいと思いませんか? 実はそれが可能なのです。 無酸素運動能力を鍛える事で、筋肉内に於けるATPやACrの貯蔵量を増やし、同時に乳酸の蓄積を妨げ、筋力アップを可能にするのです。
 
無酸素運動能力をアップするには、トレーニング内容に3つの要素が必要となります。 それがインターバルトレーニング、筋力トレーニング、瞬発力トレーニングです。

インターバル・スプリント・トレーニング
このトレーニング法は、今までトレーニングしてきた方法と一緒か、もしくは大きく異なるかもしれません。 多くの人々は、スポーツ選手に必要なのは、長距離ランニングやエアロバイクなどの有酸素運動が有効と信じています。  この様なトレーニングは有酸素運動としては良いのですが、無酸素運動能力の向上には一切意味がありません。 むしろこの様なダラダラとした有酸素運動は、バスケットボール選手にとって不利益になるでしょう。

ゆっくりとした動きで普段トレーニングをしていると、筋肉の反応が鈍くなるのです。 最大筋出力アップとスピードアップには、素早い動きでトレーニングをし、筋肉にスピーディーな反応を教え込む必要があるのです。

もう一つの従来の有酸素トレーニングの問題は、無酸素状態下でのエネルギー(ATP,PCr)生産能力を低下させる可能性があります。
インターバル・スプリント・トレーニングは、バスケットボール選手がプレーで必要とするエネルギーシステムを向上する為に用いられます。
トレーニングでは異なる単位時間で運動をし、休憩を挟みます。 こうして休憩を入れる事で、競技者は続く運動に備えてエネルギー回復ができるのです。

インターバルトレーニングの1セッションは、10〜90秒程度にしましょう。 休憩は2〜6倍必要となります。 例えば10秒間運動をしたなら、休憩は30〜60秒程度になります。

ストレングス・トレーニングと瞬発力トレーニング
ストレングスと瞬発力のトレーニングは、それぞれお互い良い影響を与えます。
昔からのストレングストレーニングはスクワットやベンチプレスで、瞬発力トレーニングは、スナッチやクリーンです。
これら2つは異なるエクササイズ法ではありますが、通常筋力のある選手は、両種目共に強い力を発揮する事が証明されています。

通常のウエイトトレーニングは、瞬発力の基礎筋肉を造る
従来のウエイトトレーニングは、シーズンオフの初期にやり込むべきです。 シーズンオフ後期に行う瞬発力トレーニングに備える為です。
従来のウエイトトレーニングを行う上で留意すべき点を以下に解説します。

*複数の関節を使ったエクササイズをする

スクワット、ベンチプレス、ラットプルダウン、ランジ等は、1つ以上の関節を使ってエクササイズを行います。 この様なトレーニングは、競技する身体を造るのに適しています。

*1つの関節しか使わないエクササイズは最小に
カールやキックバックやサイドレイズは、競技能力向上よりルックス向上のエクササイズです。

* 2〜12回程度繰り返せるウエイトで行う
ヘビーウエイトは筋力アップにつながります。 高回数はウォームアップとして行いましょう。

*45分以上ウエイトルームに居る必要はない
ボディビルではないのだから、ボディビルの考えは頭から除いてください。

瞬発力トレーニングがパワーとスピードをアップする
バスケットボール選手にとって、瞬発力トレーニングは必須です。 プログラムに加える事で、相手選手より俊敏になり、ジャンプ力もアップしてくれます。
以下がエクササイズをする上で留意するポイントです。

*正しいテクニックで行う
重過ぎるウエイトを扱い、正しいフォームを崩す事のないよう気を付けましょう。 
一番良いのは、ウエイトリフティングのコーチか、ストレングス&コンディショニング認定コーチに正しいやり方を教えてもらう事です。

*素早い動きで行う
瞬発力をアップするトレーニングだから、動きは早くなくてはなりません。

* 瞬発力トレーニングは、毎日一番最初にやる

体力とエネルギーを大変必要とする運動だけに、フレッシュな状態でやるべきです。

* 1〜5回以内の反復で充分

瞬発力アップのトレーニングは、5回以上する必要はありません。 5回以上の運動は、通常の筋力アップのウエイトトレーニングになります。

 インターバルトレーニング例
 運動  休息時間
 1セット90秒  3分
 1セット60秒  2分
 1セット45秒  90秒
 1セット30秒  2分
 2セット20秒  1分40秒
 6セット10秒  60秒
 筋力トレーニング(オフシーズン)例
 運動  セット
 スナッチ  76〜79%で5回を3セット
 スクワット  64%で10回を3セット
 ベンチプレス  64%で10回を3セット
 ラットプルダウン  64%で10回を3セット
 ショルダープレス  64%で10回を3セット
 腹筋運動(サーキット)  15〜30回を3セット
 筋力トレーニング(シーズン前)例
 運動  セット
 スナッチ・プル  82〜85%で3回を3セット
 パワークリーン  85〜88%で2回を4セット
 スクワット  82〜85%で3回を4セット
 インクラインプレス  82〜85%で3回を4セット
 ラットプルダウン  73〜76%で6回を4セット
 腹筋運動(サーキット)  15〜30回を3セット

 

さあ、パワープレイヤーになる全ての術を君は今手に入れた!
これらトレーニング法を念頭に置いてトレーニングすれば、パフォーマンスが向上し、ライバルから恐れられるだろう!


ソース元:CSCS,MS Trainer Michael Sanders, Muscular Development Jan '2000

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