米国農務省が新しく修正したピラミッド型栄養構成図は、大きな波紋をフィットネス業界に与えています。 雑誌はどこもかしこもピラミッドについてばかりです。

今回フィットネス誌にて、新しくピラミッド構成図に加わった運動表示について、専門家の意見が交わされたので紹介してみます。

米国政府の見解では、ピラミッド図が提起する運動量を達成するのは、決して難しくはないとの事です。

By John Hanc
それは難しい事ではない。
ピラミッド型栄養構成図を、米国政府として記者会見に臨んだ、元ヘルス&ヒューマン・サービスの広報部のトミー・トンプソン氏は、ピラミッドで表記される運動量をこなすのは、そんなに難しい事ではないと言います。
「今夜、家に帰ったら家の周りの近所を歩いてみて下さい。 もしテレビを観るなら、その場で腕立て伏せ10回と腹筋運動5回やってみましょう。 それだけで充分です」

しかし実際には政府の指示する運動量を実直にこなすには、もっと運動量が必要でしょう。 新しいピラミッド図は、個人の体重や身長により、運動量や食事摂取量が異なります。 ある人はある人より倍の運動量という事もあり得ます。
殆どの人々には1日30分の運動量を目指せば良いでしょうが、体重増加を避けたいのなら、1日60分の運動量が必要と政府は説きます。 しかし、1時間家の周りの近所を歩けというなら、大変な運動量です。 また一部の人達は、「本当に体重を減らしたいなら、1日30分以上の運動でカロリーを消費しなくてなならない」とも言います。

新しいピラミッド図の製作を行ったメンバーの一人である、ジョンホプキンズ大学のベンジャミン・カバレロ教授は、「1日30分というのは、”最低限度”という言葉を含むべきです」と話します。

【じゃ、どうやって60分もの間運動すれば良い?】

パンジー・クラフォードさんは、友人の助けを少しかりて、近所のYMCAで目標を達成するそうです。
クラフォードさんは、3人の娘と1人の孫を持つ、48歳の母です。 
彼女は昨年ニューヨーク州ベルローズ市のYMCAで、運動を今迄した事の無い人達を対象に作られ、たシェイプアップ目的の試験的プログラムに参加しました。 
「私は体重を減らして健康的になりたかったの」とラフォードさんは言います。

仲間と助け合い
YMCAのプログラムに参加して会ったのは、ローランド・プリエト氏と同僚のトレーナー達でした。
彼らは今迄室内ラケットボールとして使われていた古い施設を、このプログラム参加者の為に作り替え、フィットネスルームと名付けて待ったいたのです。
このプログラムに入会するには、先ず週3回参加する事を宣誓させられます。 そして実際その約束を守っているか、トレーナーが参加者を監視します。

「我々は参加者に、バランスのとれたトレーニングスケジュールを提供できるよう、意識する必要がありました。 又、参加者同士がお互いつながりを深める事で、楽しく持続性を持って参加してもらいたいと考えてました」と、プリエト氏は話します。
クラフォードさんは、入会時身体測定をされた後、有酸素運動と柔軟体操と筋トレからなるプログラムをトレーナーに作成してもらい、プロの管理の元で運動をはじめました。
すると彼女は直ぐに仲間とうちとけ合い、トレーナーや他のメンバーに会うのは勿論、プログラムに参加するのが楽しみになったと言います。
「みんな凄くフレンドリーで、自分がこのメンバーの家族の一員のような気にさせてくれるの」とクラフォードさんは言います。

プログラムに参加して以来、徐々に運動量も増やしていき、現在では30分のトレッドミル(歩行機)か、楕円歩行器〔ペダルが歩く様な動作で、前後に(横から見ると)楕円形に回転する機器〕ではじめ、次に20分間のウエイトトレーニングをし、最後に10分間のストレッチ体操をするそうです。 これで全60分の運動です。 それを週3〜4回行います。
実際この試験的に始まったプログラムは、参加者に結果を出したのです。  クラフォードさんは、半年続けた結果、6kg減に成功し、体調はすこぶる良いそうです。


「誤解を解くと、一般には1日30分の運動を薦めます。 1日60分というのは、それくらい運動しないと太ってしまう人です。 だからクラフォードさんがおっしゃる様に、減量に成功したというのなら、彼女は彼女に必要な量の運動をこなしたという事です」と答えるのは、南カリフォルニア大学で教授を務めるルセル・ペート教授で、ペート教授は新しいピラミッド構成図の作成に加わったメンバーの一人でもあります。

運動の強度と時間について
政府が発表した新しいガイドラインの製作者である2人の意見を伺いましたが、若干それぞれの意図と意味が異なるようです。 片や30分が最低限度の運動時間と言い、もう片方では30分が殆どの人には充分と言われます。
幸運にもクラフォードさんは友人と協力し合って60分のノルマ達成をクリアし、結果が出ているものの、こうゆう曖昧な表記は幾らかの人々を不安にさせ、運動に参加する意欲を消してしまいます。

「私が憂慮するのは、1日60分〜90分のエクササイズが必要と知り、人がやる気を失せてしまわないか?という事です」と話すのは、ニューヨークのマンハッタンでプラスワン・フィットネス・センターの副社長を務める、運動心理学者のジョン・バゼリオ氏です。
バゼリオ氏は、「1日60分と考えずに、1日10〜15分から開始するよう努め、毎日ではなく週2日とし、土曜と週の真ん中あたりに1日設ければ良い。 そこから徐々に運動時間や頻度を増していけば良いのです。 大事なのは、運動をする習慣を生活に組み込む事です」と言います。

では以下が、テキサス州ダラス市にある、米国スポーツ医学大学からのピラミッド図に対するアドバイスです。

ゆっくり時間をかけよう
時間が無い事が、多くの人にとってエクササイズができない原因の一つでもあります。 ですから、毎日のスケジュールで、運動ができる時間を探してみて下さい。 例えば夜テレビを観る時間などです。

毎日ゴールを設定しよう
明日の朝は、朝食の前に15分歩く為に時間を作る事ができるかも知れません。  更に夕食前に、雪かきや畑仕事をして肉体を使う事ができるかも知れません。 大事なのは蓄積です。 たとえ1日でトータル30分としても、これが続くと大きな結果につながるのです。 何時運動をするか?ではなく、やるかやらないか?が重要なのです。

友達と歩きましょう
調査では、友人と一緒にエクササイズを始めた人は、長く持続する可能性率が高い事が分っています。 友達と一緒に運動を始めるのは、長く続くだけでなく、安全面でも有利です。

お使いをエクササイズにしよう
人は怠け癖が付きやすく、ちょっとした用事でも体を使いません。 例えば買い物に行くなら、一つ手前の駅で降りて歩いてみましょう。

色々試して続けよう
1日の指示された運動量をこなすには、色んな方法で蓄積すれば良いのです。 自転車ではなく歩いたり、庭いじりをしたり、お使いに出掛けたり、ジョギングや筋トレのエクササイズをするのは言うまでもありません。
重要なのは、何かを”する”事です。  「何かをやろうという意思が、先ずは必要だ!」とトンプソン氏はおっしゃいます。

 

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